肝腫瘤病変の鑑別診断は幅広く、特に針生検では正しい診断にたどり着くのは困難であろう。 小児の肝腫瘍の鑑別診断は成人とは異なるため、本総説の範囲外である。 成人では、年齢、性別、背景となる肝疾患の有無により、アプローチが異なる。 病変は大きく原発性と転移性(二次性)に分けられ、原発性病変はさらに肝細胞由来と非肝細胞由来に分けられる。 前者は肝細胞に由来する良性および悪性病変からなり、後者は胆道系、間葉系、造血系、血管系の腫瘍が含まれる。 非上皮性新生物については、このレビューの範囲外である。 肝細胞病変には、異形成結節、限局性結節性過形成、肝腺腫、肝細胞癌があり、鑑別診断には臨床病理学的相関と免疫組織化学(IHC)マーカーの適用を必要とする難しい場合がある。 肝臓は転移しやすい部位であり、時には原発不明となることもあり、適切なワークアップが正しい診断に至る鍵になる。 このような状況下で正しい診断を行うには、組織学的特徴、画像所見、臨床症状、そしてIHCマーカーを適切に使用することに留意した体系的なアプローチが必要である。 この目的に使用できる抗体のリストは、常に増え続けている。 病理医にとって,これらのマーカーの感度や特異性,診断上の役割や臨床的意義について,最新の情報を得ることは重要である。 本総説の目的は、成人の肝腫瘤の鑑別診断について概説し、正しい診断を下すためのアルゴリズム的アプローチについて考察することである。