Streptomyces はこれまでに発見された微生物界で最大の抗生物質生産属である。 この属の種から報告される年間の抗菌物質数は、約20年間ほぼ指数関数的に増加し、その後、着実に増加して1970年代にピークに達し、1980年代後半から1990年代にかけて大幅に減少している。 この累積数は、ロジスティック方程式で予測されるよりもずっと平坦なシグモイド曲線を示している。 そこで、この曲線に数理モデルを当てはめ、本属の未発見抗菌薬の数を推定し、近い将来の傾向を予測することを試みた。 前年度の成功がスクリーニングの励みとなり、新規抗菌薬の発見確率はこれまでに発見された抗菌薬の割合の関数であると仮定したモデルは、パラメータを最適化した結果、良好にフィットした。 このモデルは、この属が生産できる抗菌物質の総数を10万種類程度と推定しており、これまでに発見されたのはそのごく一部に過ぎない。 この傾きは、化合物の枯渇というよりも、スクリーニングの努力の低下に起因しているように思われる。 このまま放置すれば、今後1〜20年で傾きがゼロになるが、スクリーニングの努力を一定に保てば、今後数十年は新しい化合物の発見率が低下することはないだろう。