Background: モンゴメリーうつ病評価尺度(The Montgomery and Åsberg Depression Rating Scale)。 青年期の大うつ病性障害(MDD)の症状重症度評価にはMontgomery-Åsberg Depression Rating Scale – Self Assessment(MADRS-S)が用いられているが,その心理測定的特性や診断精度は明らかではない。本研究の目的は,青年期の精神科外来患者でMADRS-Sの診断精度も含めて心理測定的特性を検討することにある。方法:MADRS-Sは精神科外来患者において,診断精度を高めるために使用される。 思春期精神科外来患者(N=105、平均年齢16歳、男子46名)を対象にMADRS-Sを実施し、学童期の感情障害・統合失調症に関するKiddie Schedule(K-SADS)を用いて面接を実施した。 主成分分析では、固有値4.6と1.3の2成分でそれぞれ分散の51.1%と14.4%を説明した。 第1成分には、気分、不安感、食欲、積極性、悲観主義、生きがいの項目がロードされた。 第二成分には、睡眠、集中力、感情移入を評価する項目がロードされた。 全項目のCronbach’s alpha(内部一貫性)は0.87であった。 同時性妥当性(MADRS-SスコアとK-SADS MDD重症度スコアの相関)については、スピアマンのrhoが0.68であった。 受信者動作特性分析では,曲線下面積は0.86(95%信頼区間0.78-0.93,p<9854>.001)であった。 すべての参加者について,カットオフ値15と16を用いた場合に,感度と特異度の合計が最も高くなった(感度0.82,特異度0.86). MDDに対する感度を最適化し,特異度を0.5以上とした場合,カットオフ値は全員9,男子は7,女子は10であった。 MADRS-Sの心理測定学的特性は,良好な信頼性と妥当性を示し,診断精度も満足できるものであり,思春期精神科患者のMDDスクリーニングに適した特性であることが示唆された.